自助具について考える「認知症と自助具」自助具は無理して使っちゃダメ!

コラム

こんにちは! ぐのです。

作業療法士としての経験をもとに
自助具に関する記事を書いています。

今回は、コラムです。
テーマは、「認知症と自助具」。

ちょっと重めのテーマですが、
読んでいただけたら嬉しいです。

この記事は、

・ 認知症の家族に、自助具を選ぼう、買おうとしている方
・ 認知症のご家族がいて、悩まれている方

に向けて書いています。

認知症の人が自助具を使うのは難しい

このコラムでお伝えしたいことは、
「認知症の人に自助具を使うのは難しい」
ということです。

(厳密にいうと、「難しいことがある」ということですが)

全ての認知症の方、というわけではありませんし、
全ての自助具、というわけでもありません。

でも、
「難しいということを知っておいた方が良いよ 」
いうお話です。

自助具を買おうかどうしようか。
どの自助具にしようか。

考えているということは、
日常生活の中の、何かの動作や作業に
できなくて困っていることがある
ということですよね。

しかも、それは、
あなたができないのではない。

認知症がある、あなたのご家族のことで
あなたが困っている。
もしくは、
不便そうだから、
どうにかしてあげたい。

今までできていたことができなっている姿を見ると、
なんだかヤキモキするし、
焦ったい気持ちになる。

日常生活の動作が簡単にできるような道具で、
どうにかできたらいいのに。
そう思うのも無理のないことがと思います。

安心したいんですよね。
わかります。

でも、ご家族に認知症がある場合、
自助具を選ぶことが
手っ取り早い解決策であるとは
限りません。

なぜかというと、
認知症の人にとって、
自助具を使うということは、
普通の、よくある道具を使うことよりも
難しい可能性があるからです。

なじみの薄いものに弱い認知症と、一般的になじみの薄い自助具

認知症は、
簡単に言ってしまえば、
なじみの薄いものに弱い病気です。

弱いというと語弊があるかもしれませんが、
例えば、
昔から知っているものには、
何も抵抗がないけれど、
新しいことは覚えられないし、
見たことのないものは、
「なんだこれ?」といった、
疑問や、不審な気持ちになることがあります。
そして、覚えられないので、
何度もそういう気持ちになります。

そして、自助具は、
あなたがそうであるように、
一般的になじみのあるものではありません。

どんなものかわからないから、
買う前に検索の必要もあるわけです。

普通のお箸を買うのに、
使い方を検索するなんてこと
ないですもんね。
検索するなら、
デザインや、耐久性くらいです。

つまり、
なじみの薄いものに弱い認知症の方と、
一般的になじみの薄い自助具は
相性が悪い可能性があるわけです。

嫌なことを繰り返すと不穏になる

もちろん、全ての認知症の方が、
自助具を受け入れないわけではありません。

そして、全ての自助具が
認知症の方には使えないわけでもありません。

ただ可能性として、
そういうことがあるということを
覚えておいた方がいいということです。

ちょっと例をあげて
想像してみましょう。

勇んで、自助具を購入して、
一緒に住んでいる、認知症のおじいさんに
使ってみるようにすすめるとします。

そのおじいさんがどのような人かにも、
認知症の程度や、症状の出方にもよりますが、
全く使えない可能性もあるわけです。

勧めてみたけれど、
なんだかうまく使えるようにならない。

あなたにとっては、
どうして使えないのかわからないくらい、
とっても簡単に使えるものです。

何度も持たせて、
何度も使い方を教えて、
でも使えるようにならない。

でもせっかく買ったのだから、
使ってほしい。

そりゃそうです。
自助具って、安いものばかりではないですからね。

だから何度も持たせます。
何度も同じ説明をしているうちに、
怒った口調になってしまうこともあります。

繰り返しているうちに、
どんなことが起こるか。

認知症のおじいさんが
不穏になってきます。

何度も繰り返し言われているうちに、
嫌になってきてしまうからです。

認知症になると
物忘れがあって、
新しいことは覚えられないはずなのに
不思議ですよね。

どうしてこのようなことが起こるかというと、
認知症の人でも、
感情の記憶は残るためです。

感情の記憶

認知症の人にも、喜怒哀楽はあります。

楽しかったり、嬉しかったりすれば、笑顔になりますし、
悲しかったり、怒ったりして、嫌な気持ちになることもあります。

でも、出来事は忘れてしまいます。

ただ、気持ちだけを覚えているのです。

自助具を使った状況で嫌な気持ちになった場合、
それを繰り返すうちに、
同じ状況になると、
「なんだかわからないけど、嫌だ」という気持ちを
引き起こしやすくなってしまいます。

なかなか使い方を覚えられない自助具を
無理矢理繰り返して使わせていると、
おじいさんが不穏になってくるのは
このためです。

不穏は、いわばストレスの裏返しです。

よく言われることですが、
ストレスは、
認知症の症状を進行させることがあります。

症状の進行は、
人によってさまざまですが、
今までなかったような
異常な行動で現れることもあります。

自助具を使って、
日常生活を楽に、便利にしようとしたのに、
結果がこうなってしまっては、
本末転倒ですよね。

認知症の方にとって大切なのは、
心穏やかに、ストレスなく生活することです。

それは、あなたにとっても同じです。

ストレスを全くのゼロにすることは難しいですが、
ストレスをわざわざ呼び込む必要は全くありません。

また、ストレスを与える悪役に、
あなたがなる必要もないのです。

認知症のある家族に、
自助具を使わせることで
ストレスを与える可能性かがあることを
知っているというのが大切です。

知らなかったら、
気をつけることもできません。

知っているからこそ、
「あれ? これはもしかして」
と思えるのです。

専門家に相談しよう

先ほどあげたのは例ですし、
何度も申し上げますが、
認知症の方みなさんがこうなるわけでも、
自助具全部でこうなるわけでもありません。

自助具が使えるかどうかは、
どんなことに困っているのか、
認知症は、どの程度の症状がみられるのか
その人の性格や生活歴、趣味嗜好など
いろいろなことで変わってきます。

また、対処法も、
生活スタイルや、
家族がどうしたいのかなど、
ケースバイケースで様々です。

適切に見極めるのは、なかなか難しいです。

そんなときは専門家に相談しましょう。

認知症の方であれば、
介護サービスを利用していることが
ほとんどだと思います。

担当のケアマネージャーさんや
利用している介護施設の職員さんに相談しましょう。

利用している施設に、
作業療法士がいれば、
その人に相談するのが
いちばん手っ取り早いです。

もし、気軽に相談できる人がいなければ、
私に、コメントやメッセージをいただければ、
可能な限りご相談にのります。
(直接お会いできるわけではないので、
 どこまでお力になれるかわかりませんが、
 できるだけがんばります)

もうひとつ大切なのは、
あなたもストレスをためないこと。

抱え込まずに、信頼できる人やサービス、制度に頼りましょう。

最後に

現在、認知症の治療について、
専門家が研究を進めていますが、
今のところ、認知症は治る病気ではありません。
程度はあれど、進行もしていきます。

良かれと思ってしたことが
うまくいかなくても
あなたのせいではありません。
そして、認知症のご家族のせいでもない。

みんなが安心して生活していくためには、
助けを得ながら、
できることと
できないことの
折り合いをつけていくことも大切です。

昔に比べれば、
認知症に対する理解も、
だいぶ進みました。
どんどん相談しちゃいましょう!

ここまで読んでくださって
ありがとうございました。
ではまた!

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